解説

右図.に示すように質量Mの剛体の振り子を角度θで振らせたときの運動方程式を求める。ただ
し、支点Oの摩擦や空気の抵抗は無視する。
剛体の力学(有馬朗人 基礎物理学 上 P91,原 康夫 物理学通論T P135参照)に

よれば固定軸のまわりの回転においては
(慣性モーメント)×(角加速度)=力のモーメント
の次のような関係が成り立つ。
(1)
ここでIは点Oのまわりの慣性モーメント
(moment of inertea),
2θ/dt2は角速度、は重力の加速度、は支点
と重心Gとの距離である。今θが充分小さいとき
には(1)式の右辺のsinθはsinθ≒θと近似され、
(2)式で表され、その周期T0が求まる。
(2)
(3)

しかし、振れ角が小さくなければ、式(1)は単振動の式ではなく、かんたんには解けない非線型振動
の方程式である。この場合の周期Tは|θ|の最大値、すなわち、角度振幅をθ0とすれば、次
式で表される。ただしθ0の4乗以上の項が無視できる程度に振幅が小さい場合である。
(4)
従って式(4)から
(5)
である。

Bordaの振り子は支持具Sに細い
針金をつけ、反対の端に半径r、質量
Mの重い金属球をつけて鉛直につり下
げ振らせるものである。右図からわか
るように、支持具Sのナイフエッジを
支点として振動するので、式(4)のhは
、h=l+rとなる。ただしlはナイフエッ
ジから金属球の取りつけ点までの距離
である。一般に半径r、質量Mの球の
中心を通る軸のまわりの慣性モーメン
トは2/5Mr2であり、中心を通る軸に
平行でhだけ離れた軸のまわりの慣性
モーメントIとの間には
(6)
の関係がある。(基礎物理学P95参
照)
h=l+rとして(6)を(5)に代入すると

(7)
となり、周期Tを測定し、l、r、θ0を測れば重力の加速度gが得られる。


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