実験方法

(1).まず支持台Pの上にU字型の水平台Hを置き、水準器を用いて水平に保ちます。


(2).支持具Sの十字型チャックFの中央に長さ1mのピアノ線を入れて締め付け固定します。反対の端には金属球を固定します。

(3).Sを水平台Hの上に置き、金属球を静かにつり下げます。

(4).次にナイフエッジに直角の方向に約3度(振幅で4~5cm程度)の角度で、金属球が楕円を描かないように振らせ、
10周期(10T1)を望遠鏡を用いて0.01秒の精度で測定します。望遠鏡は振り子の前方約1.8mの位置に置きます。
次に視野の中に十字線がはっきりと見えるように、接眼レンズを調節し、その十字線の中央に静止している振り子のピ
アノ線の像がはっきりと見えるように望遠鏡の向きやピントを調整します。
(5).10周期毎のラップをとりながら190周期を測定します。以下がその手順です。

  • 振り子はナイフエッジに直角な鉛直面内で振動させるが、このためには糸でおもりの球を正しい方向に引っ張って
    おいて、手をはなせばよい。もしおもりが楕円を描くか、おもりがねじり振動をするような場合には、やり直します。
  • 振りはじめの振幅は振り子の背後のものさしNで測って4~5cm(約3度)がよい。振り子をしばらく振らせ、正しい
    振動状態であることを確認して、振幅a1を3回1mmの読みとり誤差で測定した後、190回の周期を測定します。
  • 実験者の一人がカウンターを使って周期の回数を正しく数え、もう一人の周期測定者に10周期目を知らせます。周
    期測定者は望遠鏡で振り子の運動を観測し、振り子の最下点近く近くに十字線をセットして、その中央を一定の
    方向に通過する10周期毎の時刻を190周期まで0.01秒の精度で測定します。
  • 190周期測定の直後に再び振り子の振幅a2を3回1mmの精度で測定します。
  • 次に振り子の支点(ナイフエッジ)から固定したものさしNの目盛りの位置までの距離を巻き尺で3回1mmの
    精度で測定します。
  • この時点で下の測定例にならって、100Tのデータ10個を出してみる。10個のデータのばらつきが1秒程度以内に
    なっているならば良いが、そうでなければこの(5)項の測定を再度繰り返して
    、良いデータを得るようにします。
振幅θ0の測定例
d(cm)a1(cm)a2(cm)θ0残差(残差)2
1106.94.54.03.968793×10-22.9564×10-48.740301×10-8
2106.94.44.03.924448×10-2-1.4781×10-42.184780×10-8
3106.94.44.03.924448×10-2-1.4781×10-42.184780×10-8
平均---------3.939229×10-2∑(残差)2=1.310986×10-7

周期tの測定例
時刻t1
min' sec
時刻t2
min' sec
t2-t1=100t
min' sec
t/100
sec
残差(残差)2
0 0.0 1003`30.97 3`30.97 2.10972×10-44×10-8
1021.08 1103`51.99 3`30.91 2.1091-4×10-41.6×10-7
2042.19 1204`13.05 3`30.86 2.1086-9×10-48.1-7
301`03.29 1304`34.34 3`31.05 2.11051×10-31-6
401`24.36 1404`55.30 3`30.94 2.1094-1×10-41-8
501`45.43 1505`16.38 3`30.95 2.109500
602`06.64 1605`37.52 3`30.88 2.1088-7×10-44.9-7
702`27.63 1705`58.67 3`31.04 2.11049×10-48.1-7
802`48.65 180 6`19.71 3`31.06 2.11041.1×10-31.21-6
90 3`09.92 1906`40.78 3`30.86 2.1086-9×10-48.1-7
(0.01秒の桁まで測定すること)平均100T210.95s2.1095∑(残差)2=5.34×10-6

(6).周期測定の終わった振り子を、長さlの測定用枠(別の場所に設置してある)に吊し、ナイフエッジから
球の上部までの長さlを直角定規をあてて、視差のないように0.1mmの精度で3回測定します。次に、
ノギスを用いて球の直径2rを種々の位置で0.1mmの精度で5回測定します。

長さlの測定例
l(cm)残差(残差)2
1108.41-6.666×10-34.443556×10-5
2108.423.334×10-31.111556×10-5
3108.423.334×10-31.111556×10-5
平均108.4166∑(残差)2=6.666668×10-5
球の直径2rの測定例
2r(cm)r(cm)残差(残差)2
14.1302.065-2×10-44×10-8
24.1302.065-2×10-44×10-8
34.1302.065-2×10-44×10-8
44.1312.06553×10-49×10-8
54.1312.06553×10-49×10-8
平均4.1302.0652∑(残差)2=3.0×10-7

(7).以上の測定から、物理量T、r、Dの平均値を求め、最確値とします。振れ角の最大値θ0

であるが、空気抵抗や摩擦のために振幅は減衰しているので、振れ角の平均値θ0

で与え、この関係から、3個のθ0を求め、平均して最確値を求めます。またπも5桁の値を用います。

(8).前項までで求めた物理量T、l、r、D、θ0の最確値およびπの値を用いて解説の(7)式にこれらの値を入れて重力加速度を算出します。
以下がその結果です。また表中にある残差とは測定値から平均値をひいた値で後で平均誤差を求めるときに用います。

平均誤差

測定した周期、針金の長さl、金属球の半径、振幅θ0について個別に平均誤差を求め、それらをσt、σl、σ、σθ0 とおきます。これから重力の加速度の平均誤差を求めます。


∴重力の加速度=g±σg=980.47±0.23(cm/s2)
以上から誤差を含む重力加速度が求まりました。振り子の周期が誤差にもっとも大きな影響を与えているのがわかります。


サイズが大きいですが動画もあります。周期も測れます。
振り子の映像へ(約10mb)