採点と集計

初めに

NLauthor で作成した問題に対する学生の解答を,採点集計するツールの解説です。ツールは,2種の採点ツール(NLsheet, NLmark)と集計ツール(NLtabulate)で構成されています。加えて作題した問題を蓄える問題バンク(NLportal)もあわせて解説いたします。以下,下記の順で説明を書いてみます。プロジェクトの目的と概要についてはこちらを参照ください。

注:いずれのアプリもサーバー上にテンポラリーフォルダーを作成します。そのフォルダーの有効期限は最短24時間となっています。

 

 

NLsheet は,採点用のツール(Webアプリ)です。紙の解答用紙を一枚ずつめくって採点していく様子を真似てデザインしています。下記の問題を題材として解説します。

最初に,前提としてですが,LMSに問題が配置されているとします。下記は WebClass の画面です。WebClass ではSCORMコンテンツを「資料」として扱います。問題のタイトルは「彼についてpart2」です。

SCORMコンテンツ

 

LMS に配置された問題を,学生が解答して初めて,NLsheet にその問題が表示されます。下記の画像の左側のツリーに,問題のタイトルが表示されています。

NLsheetの初期画面

 

採点できるのはその問題を作題した人だけです。作題者以外の NLsheet には,その問題は現れません。そのため,他の方が作題した問題を利用するときには,一旦 NLauthor3 でその問題を読み込んで,書き出してください(ダウンロードする)。こうすることで作題者が入れ替わります。

(1) コンテンツのプロパティー(クラス名など)を記入する

この問題のクラス名称等を設定します。左側のツリーにある「彼についてpart2」をクリックしてターゲットとして選びます。下記のキャプチャー画面では,クリックした際に,SCORM コンテンツをアップロードしていないというメッセージが表示されています。問題文表示用にSCORMコンテンツそれ自身を利用するのですが,最初はSCORMファイルを送っていないため,このメッセージが表示されます。

警告:SCORMコンテンツがアップロードされていません!

 

SCORM コンテンツがアップロードされていないので,下記のキャプチャー画面にあるように,画面の右側に解答欄だけが表示されます。

解答欄のみの表示

 

左下方にある「参照」ボタンをクリックして,SCORM コンテンツをアップロードします。アップロード後には,下記のように問題文が表示されます。

問題文の表示

 

ツリーの下に,コンテンツに関する設定が並んでいます。「Edit Tree」ボタンの機能に関しては,後述します。

まず,「Title」にはオーサリングツールでコンテンツに付けたタイトルが表示されます。タイトルを間違って付けてしまう場合もあるかと思いますが,そんな場合には,此処で書き換えることも可能となっています。ただし,コンテンツそのものに変更を加えるわけではなく,仮の変更です。コンテンツ自身のタイトルを変更する場合には,オーサリングツールを使用してください。

「Group」は講義名称等付けることを想定していて,指定するとツリーにフォルダーを作成します。このフォルダーは一階層だけ作成可能です。初期状態は “default” となっていて,どのフォルダーにも入らずツリーの先頭の方にコンテンツ名が表示されます。このヘルプでは「解説用のコンテンツ」と記入します。変更を反映させるには,下方の「Update」ボタンをクリックします。クリックするとツリーが更新されて「解説用のコンテンツ」というフォルダーが表示されます。Grooup名は直接記入することも可能ですが,すでに作成したGroupであれば,ドロップダウンリストからの選択もできます。

「Question ID」はコンテンツを区別する数字です。オーサリングツールによって付与されます。変更はできません。

「Inform students of their records」は学生に成績を通知するかどうか切り替えるチェックです。初期状態では通知しません。

「Question」では,コンテンツの解答を締め切るかどうか設定します。初期状態は解答可能と設定されています。

コンテンツの解答を締め切るときは,「Question」をLockedとして,採点が終了したら「Inform students of their records」をYesとして,学生に点数を知らせます。SCORMコンテンツであることから,LMSに強制的に点数を書き込むことはできません。次回,学生がもう一度コンテンツを開いたときに点数をLMSに書き込みます。学生が採点後にコンテンツを開かなければLMSに点数が記録されることはありませんが,教師はLMSの集計とは別に,NLtabulateを利用して学生の点数を集計可能です。

上記の設定は「Update」ボタンを押すことで確定されます。

 

(2) Treeを編集

「Edit Tree」ボタンをクリックすると,左方がTreeを編集する画面に切り替わります。ここでは,コンテンツの登録削除や表示順番の変更,Groupの移動が可能です。削除は「Delete」ボタンで,順位やグループの変更はドラッグで行います。コンテンツの表示順が変更できるのは,この画面においてだけです。Treeの更新は「Update」ボタンをクリックします。

Treeを編集

「Update」や「Cancel」等をクリックすると,Tree編集画面から元の画面に戻ります。

 

(3) 採点

右側には個々の学生の解答内容が表示されています。上方には,「ページめくり」や表示の縦サイズを変更するドロップダウンリストなどがあります。

個々の採点

 

「ページめくり」を使って,紙の解答用紙を一枚ずつめくるように個々の学生の解答を順に表示することができます(上記のキャプチャー画面では解答者が一人なのでめくることができません)。

「Size」は問題文の表示サイズの縦の長さを変更するドロップダウンリストです。Treeの右上方にあるcloseボタンをクリックしてTreeの部分を閉じて,下記のような画面での利用も可能です。

Sizeを変える

「User」はLMSにログインしたユーザー名が表示されます。「Real」は漢字名等の表示用にと用意しました。漢字名は「NLtbulate」において,追加可能です。
「Total Score」は解答を表示している学生の合計点数です。
「Write a comment」をクリックすると,下記のように,学生にメッセージを記入する窓が開きます。

メッセージを書く

 

解答欄をクリックすると,採点記入用の窓「Input Mark and Comment」が表示されます。表示される内容が多いのですが,ここで記入するものは,点数「Mark」とコメント「Commnent」の二つだけです。

Input Mark and Comment

窓の上方には,問の順位,配点「Allotment」など,各問の設定内容が表示されています(これらは変更できません)。

「Teacher Answer」は用意された正解,「Student Answer」は学生の解答内容が表示されます(これらも変更できません)。問の種類が「dictation」の場合には,正解に無いwordが学生の解答にあれば,そのwordは赤く表示されます。

dictation の例

「Status」は,現状,正解と一致しているとき「Coincide」と表示するだけですが,問の種類が「dictation」であれば,学生の解答のword数と正解のword数との差が表示されます。

「Mark」は点数です。ドロップダウンリストから選びます。「Comment」は,必要であれば,各問の解答内容に対するコメントを記入します。すでに一度記入したコメントはドロップダウンリストに現れます。そのため,同じコメントを記入する場合にはリストから選択して記入します。

「Update」ボタンをクリックすると,採点内容(点数とコメント)が更新されます。

採点内容は直ちに反映される

後は,各学生に対して採点を繰り返しますが,各学生の答案を表示する際に,そのつどデーターベースにアクセスして,その解答内容がすでに採点済みであるかどうか検索します。そのため同じ解答であれば自動的に同じ点数となります。同じような採点を繰り返す必要はありません。また解答が同じであれば,同じコメントが自動的に付加されます。

 

 

「NLmark」も先の「NLsheet」と同じ採点用のツールです。ただし,ここの学生の解答をひとりずつ採点するのではなく,各問の解答を一覧表示しながら採点します。全員の解答が表として表示されます。アプリの機能は NLsheet と共通する部分が多く,左側に表示される Tree や右上方の各コンテンツに関する設定は共通です。

NLmark

 

右上方にある「Snapshot」は NLsheet には無い機能ですが,下記のキャプチャーにあるように,問題文の内容をコンテンツ左側に表示するためのものです。ここで SCORMファイルをアップロードすることも可能です。

問題文の表示

 

左側の Tree で採点するコンテンツ(ここでは“彼についてpart2”)をクリックします。次に右側にあるドロップダウンリスト「Question #」で採点する問の番号を選ぶと,右下方の表に,学生の解答内容の一覧が表示されます(下のキャプチャーでは解答者が一人)。先に NLsheet で採点していたので,すでに点数「Mark」とコメント「Comment」が表示されています。「Count」は同じ解答をした学生の人数を表します。

解答内容の表示

 

「Display Tans & status」をチェックすると正解と Status を表示します。初期状態では正解を非表示にしています。この機能は講義中に,この NLmark の画面を学生に見せることを想定しています。講義中に演習問題をこのコンテンツで実施して,現在の解答状況を学生に見せて,学生にフィードバックをかけようと考えました。大人数の講義では学生に発表させることが難しくなるので,発表する代わりに自分の答えをスクリーン上に書き込んでもらおうという意図です。そのために,正解を隠す機能を付けました。

正解を表示

 

行をクリックすると,採点とコメントが記入可能となります。下方にある「Copy」ボタンはコメントをコピーするボタンで,貼り付けたい行を選択して,「Paste」ボタンをクリックするとコメント(のみ)が別の行にコピーされます。書き換えた内容を確定するには,一旦「Accept」ボタンを押した後,「Submit」ボタンをクリックします。

採点とコメントの記入

 

採点結果は,後日他のコンテンツでも利用できます。下方の「Download」ボタンをクリックすると,下図のように,採点結果をXMLファイルとしたファイルへのリンクが表示されます(ダウンロードする場合にはクリックではなく右クリックをする)。
この機能は,翌年コンテンツを一部修正して利用する場合などを想定しています。
ダウンロードした XML ファイルを取り込む場合は「Upload」ボタンをクリックします。

採点結果のダウンロード

 

下図が,採点内容が記録された XML ファイルの内容です。

XML ファイル

 

採点のテーブルはソート可能です。「ID」「Mark」「Count」と書かれたエリアをクリックするとソートされます。昇順降順いずれも可能です。下図に他のコンテンツ(内容は同じですが ID が異なるため,他のコンテンツとして取り扱われています)の例をあげます。

他のコンテンツ

 

下図は「Count」で並べたものです。Count の値がゼロの場合は,最終的な解答者がいない,つまり他の解答を最終解答としている場合で,採点する必要がありません。Count でソートしてゼロでないものだけ採点すれば良いと思います。

Count でソート

 

NLtabulate は集計用のアプリです。下図はその初期画面です。

NLtabulate

 

Tree で,集計するコンテンツにチェックを入れて,左下方の「Load Data」ボタンをクリックすると,右側の表に点数などが読み込まれます(名前をぼかしています)。

集計結果の表示例

 

右下方の「Download」ボタンをクリックすると,集計結果を記録したテキストファイルへのリンクが表示されます。中身は CSV ファイルです。右クリックしてダウンロードしてください。

集計結果のダウンロード

 

「Real Name」の欄は漢字名を記入することを想定しています。行をクリックして選択し,直接書き込むことができます。書き込んだら「Accept」ボタンを押して,その後「Update real name」ボタンをクリックして確定します。

漢字名を直接書き込む

 

また,「Real Name」の欄はCSVファイルから一括して取り込むことが可能です。その際は「Upload real name」ボタンを押して表示される下図のような窓で,読み込むファイルを指定します。

漢字名が書かれたファイルを読みこむ

 

読み込む漢字名のファイルは下記のような形式です。ヘッダーは無しで,LMS 上のユーザー名(User欄に書かれている名前)と漢字名を横に並べたものです。

 

 
 
 

NLportal はコンテンツを蓄え共有するサイトです。もっぱら数式を利用するコンテンツを蓄えるサイトは scorm_portal という名称です。この二つのサイトの利用方法は共通ですので,一緒に合わせて解説いたします。
 これらのサイトでは,SCORM コンテンツをアップロードして蓄え,それらのコンテンツの内容を簡単に確認できます。またコンテンツのダウンロードも可能な問題バンクです。
 NLportal のデータは NLmark や NLsheet と連動していません。つまり,NLmark でSCORM コンテンツをアップロードしても,NLportal には表示されません。

NLportal の初期画面

 

利用方法を順に記述します。最初は,SCORMコンテンツのアップロードです。左下方の「Add New Question」をクリックすると,下図の様な画面が表示されます。「SCORM File」では,コンテンツ本体の SCORM ファイルを指定します。最低限このファイルだけを指定しても結構です。「Classfication」は講義名称等を付けることを想定しています。これは Tree 上でフォルダーとして表示されるものです。空欄であれば,“default”となります。すでに作られた名称があれば,ドロップダウンリストに表示され,そこからクリックして選択することもできます。「Copyright」は著作権に関して記入します。例えば,”creative commmon 3.0″ や,由来する本の名称を記述することを想定してます。一度記入された内容はドロップダウンリストに表れます。「Summary」はコンテンツの概要を記述します。「Additional File list」は,アップロードして追加した付加的なファイル(手書きの解答をスキャンした Jpeg ファイルなどを想定)を表示します。すぐ下にある form でファイルを指定して,アップロードすると「Additional File list」に表示されます。ここでは”彼についてpart2″というコンテンツをアップロードして,「Classfication」を”説明用のコンテンツ”とします。

SCORM コンテンツを追加する

 

SCORM ファイルをアップロードすると,Tree 上に,コンテンツのタイトルが表れます。コンテンツは,自分のフォルダーの中の枝として表示されます。コンテンツのタイトルをクリックすると,右側にコンテンツの問題文や著者名などの属性が表示されます。
 Tree において,コンテンツのフォルダー間の移動や,表示順の変更が可能です。この操作方法は “NLsheet”, “NLmark” と共通です。”NLsheet” の解説の “(2) Treeを編集” を参照してください(このページ上方にあります)。

表示されたコンテンツ

 

コンテンツをダウンロードして取得するには,右方にある「Download」ボタンをクリックします。下図の様に,SCORM ファイルへのリンク先が表示されます。ファイル名の最後に “_all” と付いているものは,付加的なファイルを一緒に含んだものへのリンクです。

コンテンツをダウンロードする

 

コンテンツの「classification」,「Copyright」,「summary」を編集する場合には「Edit」ボタンをクリックします。このボタンはコンテンツの所有者でなければ表示されません。ボタンをクリックすると下図のような入力窓が表示されます。付加的なファイルの追加削除もここで行います。

コンテンツの属性等を編集する

 

下図は,自分以外の作題者がアップロードしたファイルを表示した場合です。「Edit」ボタンは表示されていませんが,ダウンロードは可能です。

コンテンツを探す