e-Learning 教材の作成ツールを更新して,SCORM2004 対応としました。それで,あらためて Ver. 5X での変更点をまとめてみようと思います。なぜこのような仕様になったのか,経緯を書いてみます。
SCORM対応の教材を作り始めた当初は,数式の自動採点を目的としたものでした。そこから対応可能な問題タイプを広げようとして(もともとの興味関心もあったのですが)自由記述に対応することを考えました。最初は数式の自動採点と自由記述への対応は別な教材として作成したのですが,すぐに融合させました。自由記述の採点は手動での後採点です。結合するにあたって,数式の自動採点の場合にも,その採点の後に手動で点数に修正を加えることができるように構成しました。下図は現在の採点の流れの構成です。数式の自動採点の後に手動採点が配置されています。
図にある STACK というのは,C. Sangwin氏等による数式自動採点を目的としたプロジェクトの名称です。数式の自動採点のところは,その成果を利用させてもらっています。手動採点の点数の方が自動採点よりも優先されます。よくやることとして,自動採点ではゼロ点であるが,まったく回答をしなかった人と差をつけるために,手動で部分点をつけるということをやっています。
手動採点をするということで,採点する誰かを特定する必要があります。それで,それぞれの問題には所有者があります。下図は問題を利用しているところですが,タイトル(「粒子の波動性」)のところをクリックすると,アラートが表示されて,教材を採点する人の情報が確認できます。この問題は ryuji-kondo が採点者です。
その為,他の先生の問題を利用する時には,いったん所有者を変更しなければなりません。そうでなければ受講生の回答が他の先生の採点ツールに送られてしまいます。所有者の変更は,下図の教材作成用のツール(名称は NLauthor)で読み込んで,書き出すと自動的に所有者が自分に変更されます。左下方にある Zip Upload で SCORM 教材を読み込むと問題の所有者がログインしている自分に変更されます(教材を区別するIDも新しくなります)。
上の図の左一番下のところに在るラジオボタンで,書き出すときの SCORM のタイプを選択します。タイプには 3 種類があって,SCORM 1.2 と SCORM 2004 と ユニバ(Universal Passport)用です。SCORM作成 ボタンを押すとSCORM教材のダウンロードリンクが現れます。このタイプの選択のところが Ver. 5.1 からの変更点です。
下図は問題バンク(名称は NLportal)ですが,ここから教材をダウンロードする場合にも,自動的に教材の所有者は自分になります(教材のIDも新しいものとなります)。Moodle だと,自由記述であっても問題の所有者などを意識する必要はないので,この問題の所有者という考えはこの教材の特徴的なところです。
再掲ですが,下図の採点の構成図を見ると,数式もそれ以外も,最初に Python や Maxima の処理が入っています。ここで受講生の回答や正解,問題文から情報を抽出して,メッセージを作成し受講生に返信することが可能です。数式であれば,すぐに思いつくものとしては,問題文を調査して有効数字を調べる等が考えられます(問題文の情報が利用可能です)。このように Ver.5x になってから,プログラミング的な要素が強くなっています。そもそもは AI 的な処理を加えたいと思って,Python で処理が書けるようにすることを計画しました。そうすると仮想では難しいので(もともとは採点,記録すべて仮想のサーバー上で実施していました),採点のところを二つに分けました。後半の手動採点のところと記録のところを仮想に残して,それ以前を他のサーバー上で実施するように変更しました。他のサーバーとの通信は HTTP 通信です。以降このサーバーを採点サーバーと呼称します。手動採点と記録を担当するサーバーは,そのURLの名称から kanaike と呼びます。
現状開発は,この採点サーバーと kanaike を分離したところまでです。分離されたので,採点サーバーは何台でも,またどこにでも設置できるようになりました(デフォルトの仮想の採点サーバー egret も用意しています)。そのためビデオカードを使った演算の処理も自由に記述できます。例えば,下図は回答の画像を言語モデル(llama3.2-vision)で何が写っているかを判定して,メッセージを返したものです。受講者がグリズリーの画像を送信していますが,きちんと熊の種類を認識しています。
実際に利用するにはまだまだですが,しばらくの間は,言語モデルを利用して何が可能なのかを考えてみようと思います。
教材作成ツールなどの利用方法は,Ver. 5.1 から大きく変わっていません。利用法を記述したサイトへのリンクを下記にあげます。





